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松井貴太郎(横河工務所)「三信ビルディング」2007/04/14 04:50:13

三信ビル(2007年4月8日撮影)

三信ビルディング
設計:松井貴太郎(横河工務所)
施工:大林組
所在地:東京都千代田区有楽町
1929年建築(1955年増築)
(2007年4月8日撮影)

地下鉄日比谷駅の上、日比谷公園に面した1929年(昭和4年)竣工のオフィスビルです。地下1階~1階は商店街、2階から8階がオフィスだったそうです。三井系の会社の本社が幾つか入っていたと思います。1階~2階は吹き抜けアーチ天井になっていてとても印象的でした。裏へ回ると、外観に違和感があったんですが、戦後増築されたためのようです。2005年1月に三井不動産より解体が発表されました。前に書いた「日本相互銀行本店」に比べれば、外観的にも特徴が分かり易いので、保存運動もかなり盛り上がっていたようですが、今月(2007年4月)から本格的に解体が始まったようです(写真には既に工事用の外壁が写っています)。

しばらく前までの勤務地が日比谷だったので、このビルの商店街には度々行ったことがあり、親しみ深い建物です。地下の蕎麦屋等に度々同僚と飲みにいきましたし、1階の有名な喫茶店にも何度も行ったことがあります(残念ながらハンバーガーは食べたことが無い)。初めての海外出張に行くためのパスポート写真もここの1階の写真館で撮りました。

建築に興味の無い人にはただの古いビルで、同僚の多くも「早く立て替えればいいのに」という感覚でした。外壁全面に剥落防止と思われるボルトを打ち込む工事もおこなわれていたので、メンテナンスコストも、結構かかっていたのでしょう。この界隈は、古くはライトの帝国ホテル(明治村に一部保存のあれ)や、比較的最近立て替えられた東京宝塚劇場など、歴史的な建物がみんな無くなっちゃっいましたね(あっ、日比谷公会堂がまだ残っているか…)。

ビルの名前からして、元々は「三井信託」の関係したビルだと思うんですが、よく分かりませんでした。直接の施主は「三信建物」らしいのですが、この名前にしても、「三井信託」の関係会社だったかと思われます。この会社は、戦後財界スキャンダル的な事件の舞台となった後、三井不動産に吸収されたようです。

検索すると、多くのサイトにこのビルの写真が掲載されているので、このビルの魅力に触れることができます。隣の日比谷三井ビル(三井住友銀行の本店が入っているビル)と一緒に再開発になるらしいのですが、やっぱり残念ですよね。

【参考】
社団法人日本建築学会「三信ビルディングの保存に関する要望書」2005年3月
社団法人日本建築家協会「三信ビルディング保存に関する要望書」2005年1月
「三信ビル保存プロジェクト」