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森孝一「宗教から読む『アメリカ』」2007/08/15 02:04:08


森孝一「宗教から読む『アメリカ』」講談社選書メチエ(1996年)

直近に書いた「アメリカの原理主義」では、「宗教右派」の歴史的背景があまり説明されていませんでしたが、それを補うのが本書です。出版は旧いですが、研究者の著書だけに、歴史的背景についても仔細に説明されており、「宗教右派」の成り立ちが良く分かります。

ロバート・ベラの「市民宗教」の概念を「見えざる国教」と解釈して、アメリカにおける社会や政治と宗教の関係を歴史的に説明していきます。

現在の政治への影響力の部分は、レーガンやブッシュ(父)までが分析の対象で、時事性には欠けますが、アメリカにおける宗教の位置、影響力というものを考える上で本書は現在でも欠かせない一冊だと思います。

なお、現ブッシュ大統領への「宗教右派」の影響力や現状については、タイトルと装丁があんまりですが、中身はチャントしている同著者の、

森孝一「『ジョージ・ブッシュ』のアタマの中身―アメリカ『超保守派』の世界観 」講談社文庫(2003年)

が参考になります。