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Sister Marie Keyrouz, "Sacred songs from East & West"2007/08/18 17:31:20


Sister Marie Keyrouz, "Sacred songs from East & West"
EMI Records Ltd/Virgin Classics
1999年
7243 5 45389 2 6

神保町の中古CDショップで入手しましたが、輸入版が現在でも入手可能です。

Marie Keyrouz修道女は、Deir-El-Ahmar(レバノン)生まれ。宗教音楽学と人類学の博士号、宗教学、西洋およびオリエント音楽の修士号などを有しており、「歌う学者修道女」と言われています。

彼女自身はマロン派(その歴史は詳らかではありませんが、古くから中東に伝わる宗派で、十字軍の折にカトリックに合同しますが独自の典礼を保持しています)に属するようですが、キリスト教中東諸教会の音楽をレパートリーにして活動しています。

本CDは、2枚組みで、1枚目は中東諸教会の音楽を採り上げています。マロン派(アラビア語、シリア語で歌われている)、メルキート派(ギリシャ正教に属するが、独自の典礼を保持する宗派;アラビア語、ギリシャ語で歌われている)、シリア正教(カルケドン公会議でヨーロッパ教会と袂を分かった宗派;シリア語)、シリア・カトリック(シリア正教からカトリックに再合同したが独自の典礼を保持する宗派;シリア語)の聖歌が歌われています。聞きなれたヨーロッパのキリスト教音楽とは全く異なる中東のキリスト教音楽ですが、元々キリスト教は中東で生まれたものであり、中東で布教された宗教であることを考えれば、こちらが本家本元のキリスト教音楽と言えます。

本CDの特徴は2枚目にあります。Keyrouz修道女は、中東諸教会の聖歌の録音は数多く行っていますが、2枚目のCDはヨーロッパ近代の作曲家による"Ave Maria"集となっています。グノー、シューベルト、シューマン、ベートーベン、ブルックナー等、一度は聞いたことのある"Ave Maria"が宗教性豊かに歌われています。

クラシックの声楽家による"Ave Maria"集は多くありますが、宗教性においてKeyrouz修道女に勝るものは滅多に無いのでは無いでしょうか(そんなに色々聞いている訳ではありませんが…)。

中東諸教会の音楽とヨーロッパの宗教音楽を聞き比べられる誠にお得な(?)CDです。

【参考サイト】
Sister Marie Keyrouzの公式サイト