公保敏雄「堀ビル(堀商店)」 ― 2007/11/03 10:40:00
堀ビル(堀商店)
設計:公保敏雄
1932年
港区新橋2-5-2
(2007年10月13日撮影)
JR新橋駅から外堀通りを虎ノ門方面に少し行くと、交差点の角にあります。1890年(明治23年)創業の建具金物等製造販売会社である、合資会社堀商店の社屋です。
特徴は、交差点に面して大きく円弧を描くデザインと西側の塔屋(写真では良く見えませんが)にあります。外壁は、スクラッチタイル(ひっかき傷をつけたタイル)貼り。水平線を強調した窓廻りに意匠が凝らされ、カギや植物をモチーフにしたレリーフが飾られています。西の角は、垂直線を強調した窓を持つ階段室と塔屋になっています。
オーナーが保存に熱心であり、老舗の商売柄ともマッチして、実によい建物だと思います。
この建物は、登録有形文化財(建造物)として、国に登録されています。
登録有形文化財(建造物):「保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物を,文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」。この登録制度は,近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化等により,社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたもの。届出制と指導・助言等を基本とする緩やかな保護措置を講じるもので,従来の指定制度(重要なものを厳選し,許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完する。」(文化庁)
【参考文献】倉片俊輔、斉藤理(監修・執筆)「東京建築ガイドマップ-明治 大正 昭和」エクスナレッジ(2007年)
前川國男「日本相互銀行本店」 (その4) ― 2007/11/10 04:40:48
日本相互銀行本店
前川國男
中央区八重洲1-3-3
1952年
(2007年11月6日撮影)
八重洲龍名館ビルの囲いの中では重機が動いてました。旧日本相互銀行本店の方は相変わらずです。意外としぶとく残っていますね。
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レイチェル・カーソン「沈黙の春」 ― 2007/11/24 03:19:49
レイチェル・カーソン「沈黙の春」新潮文庫(1974年)
原著の出版は1962年。環境問題を告発する嚆矢とも言える著書です。著者カーソンは1907年生まれ(1964年没)ですから、今年は生誕100年にあたっています。
殺虫剤を中心とした化学薬品による、生態系の破壊や、生物への蓄積、生殖機能への障害、さらに人間に対する直接的被害などを、主に北米の実例を挙げながら告発していきます。
書名の「沈黙の春」は、殺虫剤により特に大きな被害を受ける鳥類が絶えて、春の訪れの象徴である小鳥のさえずりを聞くことのできない状況を表したものです。
殺虫剤に議論が偏っていたり、殺虫剤に変わる防除法として海外からの天敵の移入を安易に薦めるなど、現在の目から見れば色々限界も見えてしまいますが、1962年という時期にカーソンが環境問題を社会に訴えかけた価値を毀損するものではありません。
出版から45年たった今でも、環境問題を考える時に、手に取る価値のある著書であると思います。
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