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Bach: Great Religious Vocal Works2011/09/01 06:17:00

Bach: Great Religious Works

軽快なテンポが特徴のバッハの宗教曲集。受難曲2曲、クリスマス・オラトリオはGrossmann(グロスマン)指揮、ミサ曲はGrischkat(グリシュカート)指揮。不勉強で全く知らなかったのですが、グロスマンはウィーンの合唱指揮者・指導者としてよく知られた方なのでした。


オリジナルはVoxで、録音はすべて1950年代です。パッケージの表示ではヨハネ受難曲1950年、マタイ受難曲1959年、クリスマス・オラトリオ1959年、ミサ曲ロ短調1958年となっています。しかしBach Cantata Websiteによると、Grossmannのヨハネ受難曲は1950年で正しいようですが、マタイ受難曲が「1954年以前」、クリスマス・オラトリオが「1952年」というのが正しいようです。実際、3曲ともモノラル録音です。Grischkatのミサ曲ロ短調は1959年でステレオ録音。一番新しいだけあって録音状態はこれが一番良いようです。


■CD1-2がヨハネ受難曲。録音は1950年モノラルという年代からするとかなり良好だと思います。冒頭「管楽器のピッチが変?」と思ってしまったのですが、ここはもともと不協和音で演奏されるところで、管楽器が強調された演奏のため不協和音がやけに目立つようです。切迫感や緊迫感を強調する狙いなのでしょうか。それほどゆったりしてはおらず、当時としてはむしろ軽快な演奏でしょうか。「ピッチが変?」の思い込みから離れて、だんだん聴きこんでいくと印象が変わっていってとても良い演奏だと思うようになりました。独唱者はみな良く歌っています。合唱は少年ではなく女声のみのようです。声を張り上げるような合唱の歌い方には好き嫌いあるかもしれません。テノール(エヴァンゲリスト)はFerry Gruber。最初、少し頼りないかなと思ったんですが、歌唱は流麗でした。この方は、主に、オペラ、オペレッタで活躍した人です。


■CD3-5がマタイ受難曲。「実際は1954年以前」のモノラル録音です。ヨハネより少し録音の状態が良くないようです。合唱は女声と少年がともに演じているようです。さらに、一部のソロにも少年が歌っているところがあるようです。これらの少年はクレジットされていませんが、もしかするとウィーン少年合唱団かもしれません。もちろん独唱者たちも良く歌っていると思います。


■CD6-8がクリスマス・オラトリオ。実際には「1952年」のモノラル録音ということでが、これもヨハネより少し録音の状態が劣っているかもしれません。合唱は女声が演じているようです。受難曲に比べて演奏がリラックスしていて、クリスマスに相応しい、穏やかさが感じられます。ソロ歌手も、ノビノビと歌っていると思います。Grossmannの3曲の中では一番聴きやすいかも知れません。


■CD8-10がミサ曲ロ短調。Girschkatの録音は1958年の唯一のステレオ録音。独唱者はGrossmannよりも優れていると思います(Wunderlichがいるくらいですから)。演奏は重くならず、晴れやか穏やかといった感じで好感が持てます。しかしなんといってもこの曲の目玉はWunderlichで、そのアリアを聴くのが最大の目的でしょうね。Wunderlichの出番は少ないので全部買うのか?、という躊躇は残りますが。


他の指揮者と違って合唱の指揮者ということなので、Grossmannの3曲は興味深い3曲となっています。特に、ヨハネ受難曲は合唱の曲でもあり、良い演奏だと思います。また、クリスマス・オラトリオも、リラックスしてクリスマスを寿ぐのに相応しい演奏だと思います。マタイ受難曲は少年の合唱が、イエスの緊迫した状況を浮かび上がらせます。そして、いずれの曲も(当時としては珍しい?)軽快なテンポが新鮮です。Grischkatは、結局Wunderlichを聞く曲かもしれませんが、他の歌手も優秀ですよ。


何というか、「是非聞いて下さい」という訳ではないんですが、1950年代録音の代表作として、特に合唱に興味のある方、Wunderlichに興味のある方には、「聞いて損は無い」と言っても良いものです。といことで、星4つ<★★★★>と評価します。