「渡邊白泉全句集」(その3) ― 2009/09/06 05:05:00
「渡邊白泉全句集」沖積舎(2005年)
昭和十三年
銃後と言ふ不思議な街を岡で見た(☆)
繃帯をまかれ巨大な兵となる(☆)
戦場へ手ゆき足ゆき胴ゆけり
戦場へ兵隊の糞赤し赤し
戦場へ膨らみ縮まりゆけりけり
戦場へ一本の列が生き動く
赤の寡婦黄の寡婦青の寡婦寡婦寡婦
昭和十四年憲兵の前ですべって:ころんぢやつた(☆)
戦争が廊下の奥に立ってゐた(☆)
大學を出でて四年の飯はあをし
朝曇激しくゴオゴリをほめ默る
昭和十三年、十四年の句。一部有名な句を選んで見ました。
(☆)は結構有名な句ですね。
【年譜】(一部)
大正2年(1913年)東京市赤坂区青山に出生。本名威徳。
昭和4年(1929年)『子規俳話』を読み、俳句に興味を持つ。
昭和8年(1933年)慶応義塾大学経済学部に進学。水原秋桜子『俳句の本質』に啓発される。『馬酔木』に投句をはじめる。
昭和11年(1936年)慶応義塾大学経済学部卒業。四月、株式会社三省堂に入社。引き続き『句と評論』にあって、自選作品の発表および地蔵尊選への投句を続行。評論にもさらなる活躍を示した。西東三鬼との交わり繁くなる。
昭和14年(1939年)西東三鬼の斡旋により、『京大俳句』二月号より同誌の会員となる。
昭和15年(1940年)二月に、『京大俳句』主要会員に対してなされた、治安維持法違反の嫌疑による第一次検挙に続く、第二次検挙に遭い、五月、京都府警に連行される。九月、起訴猶予。執筆禁止を言い渡されて帰宅。
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