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Joel Cohen, "Cantigas de Santa Maria"2007/05/04 19:06:59


3枚目の、Cantigas de Santa Maria(聖母マリアのカンティガ)のCDの感想です。

Cantigas de Santa Maria
Camerata Mediterranea, direction Joel Cohen with Abdelkrim Rais Andalusian Orchestra of Fès, direction Mohammed Briouel
Warner Classics Apex 2564 61924-2

数ある聖母マリアのカンティガの録音の中でも、おそらくアラブ音楽の影響を最も強く捉えた「過激」な一枚です。

Boston Camerataの指揮者でもあるJoel Cohenが1990年に創設したCamerata MediterraneaがモロッコのアンサンブルAbdelkrim Rais Andalusian Orchestra of Fès(指揮:Mohammed Briouel)と競演した1998年の録音で、録音地もモロッコ(Mnehbi Palace, Medina in Fèz, Marocco)という念の入れよう。

モロッコのアンサンブルの名前にAndalusianとあるのは、イスラム王朝下のイベリア半島(=アンダルシア地方)で、9世紀から15 世紀頃までのあいだに完成したアラブ古典音楽の総称をアンダルシア音楽というためです。特にモロッコには、古い形式のアンダルシア音楽が現在まで受け継がれています。

アンダルシア音楽のnawba(ヌーバまたはナウバ)と呼ばれる楽曲を挟みながら演奏されるカンティガは、コブシが聞いていて、"Santa Maria"の歌詞が無ければ、殆どヨーロッパの音楽とは思えません。

ヨーロッパ、ユダヤ、アラブの文化がそれぞれ尊重され、影響しあったアルフォンソ10世の宮廷で演奏されていたのは、本当にこのような音楽だったのかも知れません。聖母マリアのカンティガのCDを買うなら絶対に外せない一枚。五つ星の推薦盤です。