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ブルーノ・タウト展(ワタリウム美術館)2007/05/20 04:19:58

ブルーノタウト展

美術展の感想です。

ブルーノ・タウト展
アルプス建築から桂離宮へ
2007年2月3日(土)-5月27日(日)
ワタリウム美術館

ブルーノ・タウト(Bruno Julius Florian Taut, 1880-1938)は、ドイツの建築家で、3年間(1933-1936)日本に滞在(亡命)し、桂離宮を高く評価したことでよく知られています。

2階では、ジードルング(集合住宅)[実用]、アルプス建築[理念]から桂離宮[実用と理念の融合]への思想的展開が展示されています。3階は、タウトが友人や家族に宛てた手紙、4階は、日本での工芸作品と日向邸。さらに、地下では、タウトの撮った写真の展示もありました。

たまたま、学芸員による展示解説の時間に居合わせたので、自分で見ていただけでは気がつかないことも色々分かり、大変参考になりました。

2階の展示壁は、実際のジードルングの塗装に使われている塗料をドイツより取り寄せて、建物と同じ様に塗り分け彩色されていたり、床のカーペットも実際の建物のものと同じデザインのものをわざわざ制作したとのことで、非常に凝った展示構成になっています。

1910年代に建てられたジードルングは現在も使用され、修復も進められていて、世界遺産への登録が申請されているそうです。日本の同潤会アパートの扱われ方と比較すると雲泥の差ですね。ジードルングは、豊かに彩色されていますが、低価格の規格品を使いながら個性を作り出すための工夫でもあったそうです。

アルプス建築では、最近発見された原画が3点展示されています。出版された印刷と比較すると、印象がずいぶん違い、タウト本来の理念がより明確に伝わってくる感じです。

また、10年以上前(1994年だったらしい)に行ったセゾン美術館のタウト展の記憶も少し蘇りました。アルプス建築の印象が非常に強烈だったことを思い出しました。

3階の、タウトの手紙は、縦長の和紙に筆書き(ドイツ語ですが)、時に絵も交えながらのユーモアもある面白いものですが、翻訳と見比べながら見ていくのはチョッと辛い。

あまり広くないワタリウムですが、予想以上に混んでいたのと、解説の文章が多いため、結構くたびれてしまいましたが、タウトの多様な面を見ることが出来ました。

会期も残り少ないのですが、見て損はしないと思いますので、興味のわいた方はお出かけください。