Google
 

松尾理也「ルート66をゆく-アメリカの「保守」を訪ねて」2008/04/05 05:44:56


松尾理也「ルート66をゆく-アメリカの「保守」を訪ねて」(新潮新書)新潮社(2006年)

主タイトルだけ見ると、なんだかアメリカ感傷旅行記みたいですが、副タイトルにあるように、ルート66沿いの各州での、主に「保守」主義者達へのインタビューを基にしたレポートです。

著者(松尾理也、まつお みちや)は、産経新聞社外信部の記者です。米国留学時にもドライブしたルート66をアメリカの「保守」を訪ねる旅として、取材を重ねながら再びドライブをします。取材当時産経新聞に連載した記事に大幅加筆したものが本書だそうです。

両端のイリノイ州とカリフォルニア州を除くルート66沿いの中西部各州は、2004年の大統領選において、共和党を支持した、いわゆる「レッド・ステート」です。これらの州は、アメリカの「ハートランド」であり、まさに普通のアメリカ人の暮らす地域とも言えます。今回著者がルート66を選んだ理由もここにあります。

この「ハートランド」で暮らす住民達こそが、アメリカ「保守」の重要な支持者です。著者はこの様な人々にインタビューを重ね、普通のアメリカ人達の「保守」主義を明らかにしていきます。

著者のインタビューに応じる人々の大多数は、決してエキセントリックな右翼などではなく、純朴・素朴な普通の人たちです。インタビューにより、その普通の人たちこそが、キリスト教を原理主義的に信仰し、反連邦政府を主張し、反知性主義の人々であることが、明らかになっていきます。

面白いことに、インタビューの中に出てくる数少ないリベラル派の人たちの方が、エキセントリックな反応を見せるますが、おそらくそれは、これらの根深く堅固な「保守」層に囲まれていることへの危機感の表れと思われます。

この様にアメリカの「保守」は根深く広く浸透しており、個々の人たちの純朴性は疑いようが無くとも、アメリカの独善の隠然たる支持者でもあることは、我々も十分に注意を向ける必要があるでしょう。


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://northeast.asablo.jp/blog/2008/04/05/2972873/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。