中東教会協議会(編集)、村山盛忠、小田原緑(訳)「中東キリスト教の歴史」 ― 2007/05/12 10:34:51
中東教会協議会(編集)、村山盛忠、小田原緑(訳)「中東キリスト教の歴史」日本基督教団出版局(1993年)
の感想です。
大概の日本人にとって、キリスト教会といえば、欧米のローマ・カトリック教会とプロテスタント諸派の教会を思い浮かべるのが一般的でしょう。結婚式やクリスマスのイメージ…。あるいは、キリスト教系の学校を思い浮かべるでしょうか。さらに思い出せても、ギリシャ・ロシア正教会。「御茶ノ水の…ニコライ堂だっけ」。
でもイエス・キリストが生まれたのは中東のイスラエル。布教を始めたのも当然イスラエル。それが西方(ローマを除けば辺境の地)ヨーロッパ大陸に伝わって、現在の欧米のキリスト教となったわけです。
とすると、本家本元の中東のキリスト教はどうなってしまったんでしょうか。イスラームに圧倒されて、消滅してしまったのでしょうか?
こんな疑問に答えてくれるのがこの本です。
とんでもない、現代の中東には、イエス・キリスト以来のキリスト教徒が数多く暮らし続けています。5世紀のカルケドン公会議で、ヨーロッパ教会と袂を分かった教会(シリア、コプト、アルメニア、エチオピア)もあれば、独自の典礼を行いつつ、カトリック教会に属するマロン派や正教会に属するメルキート等多様な教会が活動しているのです。
本書は、日本人の知らない、「本家本元の」、キリスト教の歴史を知るための貴重な一冊といえるでしょう。
なお翻訳者は、プロテスタントの牧師で、その一人村山氏には著書
村山盛忠「コプト社会に暮らす」岩波新書(1974年)があります。
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