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牛丸聡「公的年金の財政方式」2010/03/26 03:39:25


牛丸聡「公的年金の財政方式」東洋経済新報社(1996年)

1996年出版なので平成6年改正までしか反映されていませんが、公的年金の財政について丁寧に説明されています。著者は積立方式ではなく賦課方式を支持しています。その上で、少子高齢化にともなって年金財政は困難になるので、給付水準の削減も含めて行使の役割分担の再考を促しています。

このあとの平成16年改正では給付水準の削減(マクロ経済スライド)に踏み込んだわけですが、十分とは言えません。賦課方式を維持することに賛成ですが、この方式は負担と給付が直結しないので国民の理解を高める方法が大きな課題です。

また、健康保険や介護保険(この時点では未導入)を含めて高齢者の社会保障について一体・整合的に制度設計すべきであると述べています。まったく合理的な意見ですが、高齢者から見れば、負担増加給付削減となるので理解を得るのが大変です。政治的な説得を根気よく続けるしかないのでしょう。