Google
 

小原克博、中田考、手島勲矢「原理主義から世界の動きが見える-キリスト教・イスラーム・ユダヤ教の真実と虚像」2007/08/12 04:36:41


小原克博、中田考、手島勲矢「原理主義から世界の動きが見える-キリスト教・イスラーム・ユダヤ教の真実と虚像」PHP新書(2006年)

際物的なタイトルに反し、中身はかなりアカデミックな内容です。著者は、何れも同志社大学神学部の研究者です。マスコミを中心に安易に用いられる「原理主義」とは何かということを、掘り下げて論じています。また、同様に安直に語られる、「一神教」が宗教対立を生み「多神教」が平和をもたらす、といった議論の粗雑さも明らかにされます。

本来「原理主義」とは、キリスト教プロテスタントの一部の主張に名付けられたものであり、キリスト教固有の現象であることが、キリスト教、イスラーム、ユダヤ教のそれぞれについて仔細に議論されることによって、明らかにされます。

マスコミにより度々言及される「イスラーム原理主義」とは、イスラーム過激派、暴力派を指すに過ぎないのですが、「原理主義」という言葉を使うことによって、イスラームそのものの問題であるかのような印象を与え、背景にある真の問題から目をそらせるものでしかありません。

イスラームとユダヤ教に関する議論は、かなり専門的で読み易くはありませんが、「原理主義」という言葉を安易に用い、分かったつもりになることが危険で、大いに反省すべきことであることが理解されるでしょう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://northeast.asablo.jp/blog/2007/08/12/1725075/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。