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河野博子「アメリカの原理主義」2007/08/14 02:21:59


河野博子「アメリカの原理主義」集英社新書(2006年)

安易に「原理主義」という言葉を使ってはいけないっていう著書を紹介したばかりですが、「原理主義」という言葉をタイトルに使ったジャーナリストの著書です。

著者は、アメリカ特派員の経験が長い読売新聞の編集委員。本書の主要な対象は、「宗教右派」であり、「極右」や「ネオコン」にも言及されます。「(キリスト教)宗教右派」を「原理主義」と呼ぶなら大筋間違っちゃいませんね。

最初に「極右」の話(オクラホマ連邦ビル爆破犯や中絶反対の過激犯)から入るのは、ジャーナリストらしく、インパクトのある入り方です。その後は、「宗教右派」の話が中心となります。

著者自身によるインタビューの様子などを交えながら、現在のアメリカでの「宗教右派」の考え方と影響力の強さを解説しています。「極右」や「宗教右派」へのインタビューは、本書の説得力を大いに増しています。また、第十章で紹介される、「ヨハネ黙示録」をテーマにした小説「レフト・ビハインド」が6,500万冊以上売れているという話は、かなり不気味な印象を受けます。

歴史的背景などについてはそれ程深みがありませんが、そういった点は、研究者による著書によって補えるでしょう。最近の「宗教右派」に関する概観を知るには格好の著書では無いでしょうか。

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