事業仕分け(平成22年4〜5月) ― 2010/04/27 05:02:24
さて、第2段の仕分けが始まりました。とりあえずの「魔の巣窟」はUR都市機構ということみたいですが、研究機関型の独立行政法人も多くが問題になっています。
研究開発型の独立行政法人の仕分けと言えば、第一回における、スーパーコンピュータ、スプリング8、GXロケットなどがバッサリ削られて、「何故世界で2番じゃいけないんですか」の名言とともに、強く記憶に残っています。結構大騒ぎになっていましたが、まず、スーパコンピュータの開発は参加企業の取下げやら採用方式の迷走やらがあって、既にこれじゃまずい、ということが分かっていた事業。GXロケットも自民政権時代に筋が悪そうだということでほぼ廃止が決まっていたのを一部議員の主張でなんとか首の皮一枚をつないでいただけ。もともと上手くいっていない事業をひっぱり出してきて、「駄目じゃないか」と政治家に言わせ、筋が悪いのをを知っている官僚がやる気なさそうにおざなりの回答をする。というようにしか見れませんでした。もちろん反論はあるだろうが、もともと廃止論または大幅な見直し論がでていた事業をその通りに仕分けただけに見えました。そうじゃなければ、答弁役の官僚のやる気の無さは理解不能です。
で、今回の第2回の仕分けには、多くの独立行政法人の研究開発機関が含まれている。さあ、これをバッサリということなのか?と思ったらそうでも無くて、運営の部分の無駄を指摘されただけという印象です。
ただし、これらの独法研究機関、すなわち各官庁の研究機関をそのまま引き摺っているのだから、無駄や重複は多いですね。もちろん各省庁には、固有のニーズがあるので「他ではやれない」と主張するんでしょうが。
独立行政法人の研究機関、所管官庁の配下のまま縦割り意識で研究も管理も運用されているようです。そこで、昔から何となく考えているんですが、これらの研究機関は基本的に全て、文科省管轄の「大学共同利用機関」に移管しまえば良いのではないのか。既に多くの研究機関は連携大学院として研究機能に加え教育機能ももっている。より人材の交流を活発化し各種大型特殊設備等の共同利用などのメリットもあるのではないか。とくに旧科技庁系の理研など直ちにでも「大学共同機関」に移行すべきではないのか。研究内容からいっても、そのまま総合研究大学院大学の重要部門として生きてくるであろう。管理の問題は残るが、国立大学法人と同列の管理下に置かれるので、国立大学法人全体の管理統制を強化すればよい(私立大学も含めた監査組織など)。
他省庁の管轄する独法研究機関でも、連携大学院制度を採っている機関は多く、大学共同利用機関への移管は難しくないだろう。一部の独法では、研究ではなくより実務的な機能も有するところがあるようだが、それは分離して、最小限の独法、または民営化。または、大学の出資する機関による。
今回は入っていないようですが、財務省管轄の酒類総合研究所は 廃止の危機にあるみたいですけど、いっそのこと連携大学院を結んでいる広島大学に吸収されその研究所となってもいいんではないでしょうか。山梨大学にもワイン科学研究センターというのがあるのでワインと日本酒でバランスも良い(?)。
基本的に研究部門を移し、管理部門を統合合理化して(物理的に場所が離れているのが難点だが、近所の国立大内に引越すとかすれば良いかも。各省庁として引き続きい研究が必要だということがあれば、各省庁から委託講座として、予算を援助し、研究を続けれ良い。異常に縦割りが進んだ研究機関を、単一の組織のなかに移せれば、管理費用の削減や、ニーズの変化に応じた研究分野の変化、組織の統合等も容易になるのではないだろうか。文科省焼け太りの大反対が起きそうではあるが、それなら、大学に対する文科省の権限を弱めれば良いのではないだろうか。
一見逆っこうする話であるが、JAXAみたいにビジネス的な事業と、研究開発が並列している場合、元の様に、再分割することも考えれる。このJAXAへの統合により旧宇宙研の研究自由度は著しく劣化したように思えるからである。そもそも、旧宇宙開発事業団と旧宇宙研の統合は、「ロケットを別々に作っているのは無駄だ」というひじょうに「「仕分け的論理」で、技術的な意味や研究目的を無視して統合した結果だと思う。もちろん、分離後も両組織の共同は行われるべきだが、一つの組織にする理由はない。米国のNASAも科学研究部門はCalTechなどの大学が担っていたのではなかったか(ここ記憶曖昧なので間違ってるかも)。「宇宙庁」なんて間抜けなことをするより、研究開発戦略を真面目に考えてほしい。蛇足だが、有人計画には反対をする。実用衛星でも、科学研究でも、安全性という高いコストをかけて有人計画を立てる意味はない。現行の宇宙ステーションも直ちに廃棄しったって良いと思う。
というわけで、以前から考えてきたことを、垂れ流してみました。反論は色々あるでしょうが、少なくとも研究者のモチベーションを落とすことなく、大学院生を加えたスタッフでより活発な研究ができ、海外から研究者、留学生を受け入れることも今まで以上にできると期待したい。
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