盛山和夫「年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か」 ― 2010/03/14 02:29:35
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盛山和夫「年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か」中公新書(2007年)
盛山和夫「年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か」中公新書(2007年)
医療と並んで、誤解や感情的な批判の多い年金です。現在の制度の本質と問題点を非常にクリアに説明しており非常に良い著書だと思います。
現在の年金制度は戦前の制度から移行措置を重ねているので詳細を理解しようとすると途方にくれます。ただ本質的には、社会保険と一部税負担の組み合わせによる世代間扶養方式であり、現在の現役世代から現在の老齢世代への所得移転です。長いあいだ年金給付(支出)が固定され、不足分を保険料(収入)値上げ―都度の法律改正―で補ってきたため、延々と保険料値上げが続くかのような印象を与えてしまいました。
年金財政が本当に苦しくなるのは、団塊世代が年金を受給する現在ではなく、団塊ジュニア世代が年金を受給する2050年以降の話です。これは団塊世代には彼らをささえる子供たち―団塊ジュニア世代―がいますが、団塊ジュニア世代には彼らを支える子供たちがいない(いわゆる少子化)からで当たり前の話です。
大局的に現役世代の負担と老齢世代への給付の関係を考えないで、制度をいじりまわしても混乱に拍車がかかるばかりです。
医療、年金とも意義のある改定に向けて正しい知識を身につけましょう。
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