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畑谷史代「シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり 」2009/11/06 05:00:00


畑谷史代「シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり 」岩波ジュニア新書(2009年)

石原吉郎(1915-1977)とは、8年間のシベリア抑留体験を、当初は詩として、後にはエッセーとして発表した詩人です。本書は、石原の著書と彼を知る人たちへの取材を中心に、様々なシベリア抑留体験者への取材を加えて、シベリア抑留について問いかけるものです。

シベリア抑留体験とは、単なる被害者としての体験ではなく、自らが生き残るために加害者でもあったという体験です。石原の「人間とは、加害者であることにおいて人間となる」という言葉は実に重い意味を持ちます。

1970年代には、反スターリン主義の文脈で、石原は大変よく読まれたそうです。しかし、石原から見れば全く理解されていない読み方だったことになります。

石原吉郎のオリジナル詩集等は殆ど絶版のようです。再編集した詩、エッセーが出版されているようなので読んでみたいと思います。