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トマス・アクィナス「君主の統治について―謹んでキプロス王に捧げる」2009/11/10 05:00:00


トマス・アクィナス「君主の統治について―謹んでキプロス王に捧げる」岩波文庫(2009年)

中世最大の哲学者トマス・アクィナス(1225頃-1274)の政治論で、ドミニコ会の庇護者であったキプロス王フーゴー二世(在位1253-1267)に献呈されたもの。訳者の解説にページのおよそ半分割かれています。ものすごくザックリ言うと「統治形態は王制が優れており、その君主は徳を持って統治しなければならない」という論旨です(なんて身も蓋もない)。アリストテレスに従って、統治形態を、不正な支配者が一人の場合:僭主制、少数の場合:寡頭制、多数の場合:民主制、正当な支配者が一人の場合:王制、少数の場合:貴族制、多数の場合:ポリティアの6種に分け、優れた順に、王制>貴族制>ポリティア>民主制>寡頭制>僭主制としています。

これって、ミニマックス戦略を採って、民主制の採用が最適ということになると思うとちょっと嬉しくなります。それと、不正な支配の順序を見てチャーチルの言葉(Democracy is the worst form of government, except for all those other forms that have been tried from time to time.)を思い出しました。チャーチルはトマスを読んでいたのでしょうか。