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ハインリヒ・グレシュベック「千年王国の惨劇―ミュンスター再洗礼派王国目撃録 」2009/11/22 05:00:00


ハインリヒ・グレシュベック「千年王国の惨劇―ミュンスター再洗礼派王国目撃録 」平凡社(2002年)

16世紀、1534年から35年にかけて、神聖ローマ帝国の都市ミュンスターでおきた酸鼻をきわめる事件の目撃者による記録です。

プロテスタントのツヴィングリ派から分派した再洗礼派は、自覚した成人の信仰者にのみ洗礼を施し、幼児洗礼はただ水をかけただけであるとして認めませんでした。この主張はカトリック、プロテスタントの両派から異端として否定され厳しく弾圧されていました。こうした中、再洗礼派のあるグループがミュンスター市に入り、一部市民の支持をうけて市政を奪取し王国を宣言します。帝国軍などに包囲される中、財産共有制、一夫多妻制などに教義が過激化、市民全体に対する弾圧・暴力が蔓延、包囲による食糧難が加わり凄惨な結果となりました。

再洗礼派自体は過激なグループではまったくないのですが、現在でも宗教カルト等で発生する事件が都市レベルで発生した訳です。政治権力が批判を受け付けなったとき何が起きるかということを知らねばなりません。