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ジョン・リード「世界をゆるがした十日間」2009/11/28 05:00:00


ジョン・リード「世界をゆるがした十日間」岩波文庫(1957年)

ロシア10月革命の怒涛のルポルタージュです。著者はアメリカ人ジャーナリストで、当時アメリカ社会党員、後にアメリカ共産党の創設メンバー。従って、中立的立場で書かれたものではないのですが、リアルタイムに革命の進行を体験したものでなければ書けないルポルタージュです。外国人ジャーナリストということで、ボリシェヴィキ、反ボルシェヴィキ両方の陣営の会議などの取材が許されており、さらに新聞、ポスターなど引用しながら生き生きと当時の状況を伝えています。

革命の進行は、統制され計画的なものというより、行き当たりばったりで結構グダグダです。鉄道、郵便など専門性の高い労働者はなかなかボリシェヴィキ支持には回らず、電話はかなりのあいだ反ボリシェヴィキ派が押さえています(電話交換手はブルジョワジーの子女の仕事だった)。レーニン、トロツキーのアジテーションによって、労働者、兵士が徐々にボリシェヴィキ支持に回っていきました。

当初は両陣営とも抑制されていたのが、いったん暴力的衝突がおきると歯止めがきかなくなっていきます。前線の取材に出た著者も反ボリシェヴィキ派のスパイに間違えられあわや銃殺されかけたり、ボリシェヴィキ派兵士のヒステリックな暴力を目撃することになります。